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犬杜inumori
こんにちは!リックソフトのプリセールス担当の犬杜です。
みなさんは、Salesforceを使ったことがありますか?使ったことは無くても名前を耳にしたことはあると思います。
今回は、SalesforceとJIRAのデータ連携方法についてご紹介します。
何故、JIRAとSalesforceのデータ連携を行う必要があるのか?
Salesforceは非常に優れたツールですが、それゆえに強気の価格設定となっています。
購入するライセンスの数を最小限に抑えるように苦慮している企業も多いと思います。
Salesforceに入ってきた問合せの中には、Salesforceを使っていない部門、例えばIT部門などにエスカレーションする案件もあると思います。
このとき、情報の連携にメールを使うと以下のような問題が出てきます。
- 頻繁なメールのやり取りによる情報の錯綜
- メールの宛先に含まれているユーザしか情報が共有できない
- エスカレーション先で上手くナレッジが蓄積できない
エスカレーション先でJIRAを使っている場合は、エスカレーションされてきた案件をJIRAに課題として登録しておけば、上記の2,3の問題は解消できますが、SalesforceユーザとJIRAユーザの情報連携手段はメールとなり、1の問題が残ってしまいます。
JIRAのメールハンドリング機能を使うとメールの受信をトリガとして課題を作成したり更新したりすることができます。
私はSalseforceの機能については詳しくありませんが、Salseforceにもおそらく同じような機能があることでしょう。
これで、1の問題も解消できそうですが、メールを元に更新できる情報は、件名、送信者、宛先、本文などに限定されるという問題が出てきます。
本文に様々な情報を詰め込んでおくのも1つの考え方ですが、あとから情報の検索手段が全文検索になってしまい、情報を適切に抽出できなくなってしまいます。
エスカレーション先の分もSalseforceのライセンスを購入できれば悩む必要は無いのですが、費用対効果の観点から、一部の機能しか利用しないユーザ分のライセンスを購入するのは難しいと思います。
こういった悩みを抱えているお客様は存外多くて、時々、Salesforce-JIRAの連携についてお問い合わせいただきます。
そこで、できるだけ低コストで効率的にSalesforce-JIRAの情報連携ができないものかと調べていたところ、掲題のアドオンを見つけました。
さっそく試してみましたので、リポートします。
JIRAの課題から、Salesforceオブエクトの作成や同期を行う
今回はチュートリアルに沿ってJIRAの課題とSalesforceのCaseの同期を行ってみました。
【材料】
- Salesforce & JIRA Server Connector
※利用中のJIRAと同じユーザ数のライセンスを購入する必要があります。
【知識】
- 中学校で習得するレベルの英語力
- JIRAやアドオンの設定画面を見ても折れない心
【チュートリアル】
下記のチュートリアル(動画)に沿ってSalesforce & JIRA Server Connectorのインストールと基本設定を行います。
- ServiceRocket Connector for Salesforce.com Quick Start Guide Series
- 犬杜メモ:Salesforce_JIRA_Server_Connector設定メモ.pdf
【できること】
- 課題とSalesforceオブジェクトのフィールドをマッピングできます。 ※アドオンの設定画面にて、課題とSalesforceオブジェクトの対応項目が設定できます
- 課題にSalesforceオブジェクトへのリンクを追加します。
- 課題からSalesforceオブジェクトを作成する。(Create new Case frome the Issue)
- 課題をSalesforceオブジェクトに反映する。(Push Changes)
- 課題にSalesforceオブジェクトを反映する。(Pull Changes)
【同期のタイミング】
JIRAの課題(Caseとマッピングされた項目、コメント)を更新すると自動でCaseに変更が反映されますが、課題からCaseを作成したり、Caseの変更を課題に取り込んだりする場合は、課題からデータ連携用の画面を開いて手動で処理を実行する必要があります。
同期用の画面は、課題の[その他]メニューから開かなければならないため、ちょっと面倒です。
SalesforceオブエクトからJIRAの課題の作成や同期を行う
前述の通り、JIRA側の設定だけだと、Salesforce側で行われた変更が検知できないので不便・・・
きっと同様の声が多かったのでしょう、Salesforce & JIRA Server ConnectorのドキュメントにSalesforceをカスタマイズして、オブジェクト画面に課題の作成、同期ボタンを追加する方法がサンプルコード付きで掲載されていました。
【材料】
- Salesforce ライセンス × 1本(JIRAとのデータ連携実行用)
※本設定にはカスタムアプリ開発が必要となるので、Enterprise または Unlimited エディションを利用されていることが前提となります。
【知識】
- 中学校で習得するレベルの英語力
- Salesforceの設定画面やサンプルプログラムを見ても折れない心
※チュートリアルに記載されたサンプルプログラムが定数の修正のみで利用できるので、プログラミング言語(Apex)の知識は必須ではありません。
【チュートリアル】
ドキュメントが英語なので、SalesforceのPersonal設定で画面項目の表示を英語にしておいた方が分かりやすいです。
Salesforceはカスタマイズメニューが豊富なので、ドキュメントに記載されたメニューの場所を見つけるのが少し大変でした。
【できること】
- Salesforceオブジェクトから課題を作成する。
- Salesforceオブジェクトを課題に反映する。
【同期のタイミング】
今回は チュートリアルに沿ってCaseの詳細画面に課題同期ボタンを追加してみました。
課題の作成についてもチュートリアルに記載されており、課題同期ボタンと同じように画面に「課題作成」ボタンを追加することができます。
機能拡張と注意事項
Salesforceのカスタマイズ知識があれば、Caseの保存ボタンを押したタイミングで同期処理を実行するようにしたり、一定時間毎に更新データを差分同期したりすることもできるようです。
但し、Salesforceには、1日あたりのシステム連携回数に上限がありるため、頻繁に同期処理が発生するようなケースでは運用制約を設けるなどの注意が必要です。
所感
システム連携用のアドオンって本当に面白いですね。
おお!とか、あぁ…なんて、声を漏らしながら楽しく設定を試すことができました。
海外製品は説明が不親切な場合もありますが、Salesforce & JIRA Server Connectorのドキュメントは丁寧に作られていて分かりやすかったです。
設定箇所が多くて少し大変ですが、Salesforce-JIRAのデータ連携でお悩みであれば、試してみてはいかがでしょうか。