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千葉 久光Hisamitsu Chiba
このエントリーは、 Atlassian(JIRA , Confluence, Trello, Bitbucket)のTips Advent Calendar 2017 - Qiitaの13日目です
はじめまして、リックソフトの千葉です。
ブログには初登場になります。よろしくお願いします。
今回は、JIRAとセルフBIツール「Tableau」とを連携し、JIRAに蓄積されたデータを分析して、(簡単な)プロジェクト分析をします。
(注:今回は、「Tableau Desktop」 を使用します)
プロジェクト分析をするための前提ですが、
- 『JIRA上に「予定工数」、「実績工数」に蓄積こと』になります。
->「予定工数」のJIRAへの蓄積はJIRAのアドオン『Tempo Timesheet』を、「実績工数」『Tempo Planner』を利用すると楽にできます。
プロジェクト分析のために最小限必要なものを、リストアップしました。
- Tableau で、プロジェクト進捗状況を把握するための「EVM分析」を表現するシート
- Tableauで、「EVM分析」を表現するシートの補助シート
- プロジェクトメンバーの協力(コレは欠かせません!)
- JIRAに蓄積された「予定工数」と「実績工数」(大事なことなので、再度記載しました)
プロジェクト分析に必要な手順をザックリとまとめてみましたので、見てみましょう。
1.必要な手順
(1) 抽出用データの準備
「EVM分析」を行うためには、予定工数、実績工数、および出来高が必要となります。
これらの値を抽出するビュー(またはSQL文)を作成します。
予定工数、実績工数、出来高は、JIRAの以下の画面で表示されている情報から抽出します。
- 予定工数は、JIRAの課題画面の「見積」から抽出し、集計します。
集計単位は、「課題」単位とします。 - 実績工数は、JIRAの課題画面の「実績」から抽出し、集計します。
「課題」、「開始日」単位で、実績工数の累計を集計します。 - 出来高は、少々手間がかかります。
出来高を算出するために、必要となるものが進捗率です。
進捗率の算出方法は何種類かありますが、今回は、時間管理の「見積」と「記録済」を用いて算出していく方法で計算します。
「進捗率」と「実績工数」を用いて、出来高を算出します。※過去の進捗率は、JIRAの過去履歴を用いて算出します(実績を記録した時点での予定工数と実績工数を取得)
(2) Tableau データソースの設定
- 「JIRAのデータを、Tableauとデータ連携するためのビュー」を作り、Tableauのデータソース接続画面で選択し、「ここまで表をドラッグ」までドラッグします。 これで、抽出データソースの設定は完了です。
(3) 分析用のシートを作成する。
今回は、2つの分析用シートを作成します。
概要は「Earned Value Management(アーンド・バリュー・マネジメント)」分析用の「EVM分析シート」を用いて把握し、詳細は「担当者別課題別作業工数」という補助シートを作成して把握するものとします。
- 「EVM分析シート」の作成
必要な情報は既に取得しているので、シート作成は容易です。 - 「担当者別課題別作業工数」シートの作成
担当者別、課題別に作業の進捗具合を確認する補助シート「担当者別課題別作業工数」も作成します。 - ダッシュボードに登録します。
これまでに作成したシートを、一度で確認できるダッシュボードを作成します。ダッシュボードでは、「課題キーをクリックすると、JIRAの課題チケットに遷移する」仕掛けを作ることも可能です。
2.プロジェクト分析!
では、早速プロジェクト分析をしてみましょう。
(今回分析するプロジェクトは、12/5開始、12/11終了という短期のプロジェクトです)
- 1. 12/7時点
「EVM分析」で分析すると、「予定工数>実績工数>出来高」となっている状況がわかります。
『実績工数 > 出来高』 であるため、当初予算を超過をしています。
さらに、『予定工数 > 出来高』 であるため、スケジュール遅延も発生していることがわかります。
詳細は、「担当者別課題別作業工数」で確認します。 課題「ADVE01-2:実装作業」は、『本日納期』となっているにも関わらず、状況が「未完了」となっています。どうやら、課題「ADVE01-2:実装作業」に問題がありそうです。 - 2. 12/8時点
課題「ADVE01-2:実装作業」の担当者にヒアリングをしました。
遅延の原因は、担当者が優先度の低いタスクを先行して行っていたことが判明しました。
協議の結果、担当者は『「ADVE01-2:実装作業」と「ADVE01-2:実装作業」を最優先で行う』ことになりました。
担当者が尽力したので、遅延を取り戻すことができました。 EVMで分析すると、「実績>予定 = 出来高」となっている状況がわかります。
『実績 > 出来高』 であるため、引き続き予算は超過しています。
ただ、『予定 = 出来高』 であるため、スケジュールの遅延は解消したことがわかります。
詳細は、「担当者別課題別作業工数」で確認します。 『遅延フラグ』が、すべて空欄になっていることがわかります。
これで、遅延しているタスクはないことがわかりました。
ここで、唯一未完了となっている課題も確認してみましょう。
ダッシュボードに遷移して、状況が「未完了」になっている課題(ADVE01-4:検証環境での動作確認)をクリックします。
「課題キー」と表示されたリンクをクリックすると、JIRAの課題画面が表示されますので、課題の詳細情報を確認できます。
3.まとめ
JIRAに蓄積されたデータをTableauを使って分析することで、プロジェクト管理者は、プロジェクト進捗の問題点がリアルタイムでわかるようになります。
その結果、問題解決までのスピードを加速させ、より円滑にプロジェクトを回すことが可能となります。
JIRAに蓄積されているデータをよりわかりやすく表現するための相棒が、Tableauといえるのかもしれませんね。
「JIRAのデータ分析って、Tableauを使うと案外簡単にできるんだ。
ちょっとウチでもやってみたい」と思った方は、ぜひ弊社までご相談ください!
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